『コンフェッション』(Confession of a dangerous mind: by George Clooney: Sam Rockwell, Drew Barrymore, George Clooney, Julia Roberts)
☆☆☆
「ゴングショー」の司会者でバカTV番組の名物プロデューサーが実はCIAの暗殺者・・・というプロットも、1950−70年代の時代の風景を点綴する手際も、カメラの使い方も、俳優の演技も、ぜんぶ「すごくソフィスティケイトされている」んだけれど、なぜかぜーんぜーん面白くない。
まったく同じキャストで監督だけ換えたら(例えばコーエン兄弟と)、めちゃくちゃ面白い映画になったと思う。
プロットは「おもしろすぎる」わけではない。
俳優は「うますぎる」ほどではない。
ジョージ・クルーニーくんの演出はたいへんにスマートではあるが、残念ながらスマート「すぎる」わけではない。
ここには、ある種の「過剰さ」が欠けている。
それを言葉でいうのはとてもむずかしい。
例えば、「節度のある映画」にしても、それは「節度の過剰」というかたちで必ずフレームを歪めてしまうものだ。
そして、私たちはそのような「過剰さ」にかならず反応する。
「過剰」というのがどういうことか知りたい人はジョン・ウォーターズの『クライ・ベイビー』か小津安二郎の『秋刀魚の味』をご覧になるといい。
映画が始まって10秒で、「それが何であるかを言葉ではいえないけれど、ここには何かが過剰だ」という印象を刻みつけられるはずである。
それがすぐれたフィルムメーカーとそうでないフィルムメーカーを分岐するものなのである。
クルーニーくんはセンスはたいへんよいのだから、さらに努力を続けるように。
『S.W.A.T』(S.W.A.T. by Clark Johnson: Samuel L.Jackson, Colin Farrel, Michelle Rodriguez, LL Cool J)
☆☆
サミュエル・L・ジャクソンとモーガン・フリーマンはいったい年に何本の映画に出ているんだろう?
という以外に特段の印象のない映画でした。はい。