(監督:J.J.エイブラスム、出演:トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ヴィング・レイムス、マギー・Q)
ジャン!ジャン!ジャンジャン!と『スパイ大作戦』のテーマが流れると、TVシリーズを見ていた人間としては、やはりどきどきしますね(「ジャン!」だけじゃ、曲知らない人にはまるでわかんないですけど)。作曲はラロ・シフリン。知りませんか?ラロ・シフリン。『燃えよドラゴン』と『ダーティ・ハリー』のテーマを作曲した人です。この人の曲が流れてくると、70年代はじめのアメリカ映画のざらっとした粒子の粗い映像の感触が蘇ってきます。
だから、『M:i:III』というタイトルはその点ではかなり不満です。やはりここは『スパイ大作戦・法王庁の抜け穴』くらいの中学生的タイトルにして欲しいです(だいたい「そういう」映画なんですから!)。なんですか、「エム・アイ・スリー」って。ひとこと文句言わせて頂きますけれど、最近の洋画タイトルはカタカナが多すぎますよ。トム・クルーズの出演作にしても、『宇宙戦争』や『七月四日に生まれて』のような日本語タイトルだとすぐに画面が浮かんできますけれど、『コラテラル』とか『ザ・エージェント』とか『ア・フュー・グッドメン』とか、どんな映画だったか、とてもすぐには思い出せません。だいたい『コラテラル』なんて英語の意味、知っている中学生いませんよ。お願いだから、ボンクラ中学生が汗で湿った百円玉握りしめて映画館に走りたくなるようなタイトルをつけてくださいね。
さて、肝心の映画ですが、コンテンツは中学生的にはたいへん面白かったです。アクション映画はこうでなくっちゃね。
映画のあとに生ビールを飲みながら「でも、どこか既視感があるね」という話をしていたら、一緒に試写会に来たウッキーが「先生、あれは『ルパン三世』ですよ」と教えてくれました。おお、そうか。そういえば、イーサン・ハントさまご一行は男性三人に女性一人。ルパン、次元、五右衛門に峰不二子・・・キャラ設定まで、そっくりじゃないか!「銭形警部がロレンス・“モーフィアス”・フィッシュバーンですね。」ほんとだ、顔の輪郭が似てる。
「それからバチカンで塔の中を昇ってゆく場面ありますね。」あったね、あまり意味のないシーン。「あれはルイジですよ」。ほんとだ。あれ、『スーパーマリオ』じゃないか!
いやあ、J・J・エイブラムス、舞台挨拶でお姿を拝見して、これぞ「全身総オタク」ということはわかりましたが、なるほど日本サブカルチャーへの造詣の深さは侮りがたいものがあったのでした。
映画の最後で、イーサン・ハントが妻に「実はぼくはIMFという政府の秘密機関に勤めているんだ」と告白します。もちろん「国際通貨基金」じゃありませんよ。何の略語なんだろうとぼくもどきどきしてイーサンの次の言葉を待ちました。
なんとこれがImpossible Mission Force の略でした。「不可能使命軍団」。あら、映画のタイトル、これにすればよかったじゃないですか。