『トランスフォーマー』(監督:マイケル・ベイ、出演:シャイア・ラブーフ、ミーガン・フォックス、ジョン・タトゥーロ、ジョン・ヴォイド)
私は映画を見る前には映画評やプレス・リリースの類は眼に入れないようにしています(いやでも入ってきますけれど)。できるだけ予備知識のない状態で映画館のシートに座って、映画の中の出来事にびっくりしたいからです。
『トランスフォーマー』についてはスピルバーグがプロデューサーで、マイケル・ベイが監督のSF大作ということしか知らずに試写会に行きました。「情報が抜けている」点ではかなりベストに近い状態です。
だから、ほんとうにびっくりしました。
だって、「こんな映画」だとぜんぜん想像してなかったから・・・いやあ、びっくりしました。
さて、この映画をいったいどう形容したらいいんでしょうね。
やっぱり、ひとことで言うと「中学生映画」でしょうか。あわてて付け足しますけれど、これはぜんぜん悪い意味じゃないんですよ。映画というのはほんらい「中学生がてのひらに汗で濡れた百円玉を握りしめて、胸をどきどきさせながら駆けてゆくようなもの」であるべきだと私はいつも思っているんですから(私だってそうやって『眠狂四郎炎情剣』や『ニッポン無責任時代』を見たんですから)。
最初のうちだけ戦争映画っぽいんですけれど、すぐに映画は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的学園SFラブコメになります。主役を演じるシャイアくんはマイケル・J・フォックス的な「強いんだから弱いんだか、賢いんだかバカなんだかよくわかんない高校生キャラ」をたいへん楽しそうに演じております。
高校生の夢といったら、なんたって「車」と「彼女」ですね(『バック・トゥ』もそうでした)。今度の彼女(ミーガン・フォックス)はマイケルの彼女だったクローディア・ウェルズとちょっと似てます。車は、今回はデロリアンじゃなくて、カマロです。デロリアンがただのデロリアンじゃなかったように、こんどのカマロもただのカマロじゃありません。どう「ただじゃない」のかは映画を見てのお楽しみです。
この映画が「はじめてのスピルバーグ映画」という人でも十分に楽しめますけれど、スピルバーグを見て育ってきた世代は『グレムリン』や『ジュラシック・パーク』など過去の作品からの「引用」を探し出す楽しみがたっぷり「おまけ」に付いてます。